マンガ家マンガを語る
マンガ家がマンガを語る本が好きで、できるだけ読むようにしています。読者が語るのとは異なり、なんたって実作者ですから、こちらの思いもよらない読み方もありますし、自伝の要素もはいってきますから、時代の証言にもなります。
最近の1冊は塀内夏子「雲の上のドラゴン」。正直に言いますが、わたし、塀内夏子の良い読者ではありません。単行本は持ってませんし、少年マガジン読むときも、流し読みか、トバしてました、ごめんなさい。気がつけばもう20年選手じゃないですか。そりゃマンガに対して一家言持ってるはずだわ。
タイトルの「雲の上のドラゴン」てのは、
・マガジンは少年漫画の ドラゴン・・だからだ
というわけで、少年マガジンのことです。マンガ家のタマゴたちに、少年マンガ界の頂点に輝くドラゴン=少年マガジンにトライせよ、駆け上れ、という熱いお言葉です。が、そのわりに、
・当時 私にとってドラゴンはジャンプだった
・アタイもさすがにジャンプに投稿するのはビビってできなかったね
だそうで、ちょっと腰くだけですが。
内容は、エッセイマンガの形で描かれています。自身のマンガの描き方、投稿作品の添削、スポ根マンガの描き方、自伝、子供時代の回想、森川ジョージ・小林まこと・島本和彦のインタビュー、などなど。
もっとも興味深かったのは、著者のスポ根マンガに対する思い。著者にとってのスポ根マンガの原体験は、(1)梶原一騎・辻なおき「タイガーマスク」、(2)神保史郎・望月あきら「サインはV!」。以後スポ根マンガは、マガジン=泥クサ系、ジャンプ=元気系、サンデー=オシャレ系にわかれたと。(チャンピオン=ドカベン=水島新司はスポ根じゃないってことかしら。たしかにそうかもしれない)
・スポ根は「まんが」という紙のメディアこそが一番にその魅力を発揮するとおもうんだよね
・あのハリウッド映画でさえスポーツものではたいしたものがなーい!
・日本のスポ根漫画は世界一だー
異論もあるかもしれませんが、スポ根マンガ家としてこの自負はたいしたものです。仮想敵はハリウッドだっ。
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