「萌え」についての豪快な発言
最近どっと刊行されたライトノベルガイド本の中で、大森望・三村美衣「ライトノベル☆めった斬り!」はオススメ。著者ふたりの対談でライトノベルの歴史をふりかえり、ブックガイドを加えたもの。ちゃんと歴史を書いてくれているので、類書の中でもっともわかりやすい内容。マンガの類縁ジャンルとして、ライトノベルはおさえておくべきかと。
とか言いながら、さすがにこのブックガイドに沿って読もうという気は、なかなかおきませんわねー。何といっても膨大な量ですし。でも、モノによってはマンガより読むのが簡単な小説もあるみたい。
ただし誰もがこの本で紹介されたライトノベルの中の数冊は読んだ事があるはずなので、その本の歴史的位置づけなどが解説されててうれしくなります。ちなみにわたしは、大森望がライトノベル第一号と主張する、平井和正「超革命的中学生集団」が雑誌連載されてたときのリアルタイム読者でした。わたしの記憶では、この作品、毎回次号の展開を読者にアンケートして決定する、というインタラクティブなことをやってたような気が。確か主人公ヨコジュンが女になったのも読者アンケートの結果だったと。(わたしの妄想かもしれません。マチガイでしたらご指摘を。)
「ライトノベル☆めった斬り!」の対談部分ではあちこちに脱線があって、そこがまた面白かったりするんですが、ここで、「萌え」に関するナカナカな発言が読めます。
大森望は、欄外で「萌え」について「おたくの世界で『好き』を意味する言葉」「対象が本来所属する文脈から切り離してもOK」と慎重な定義をして、三村美衣にいろいろ説明する展開ですが、三村美衣の発言が豪快。
・もう“萌え”って言葉に特殊性はないよね。
・あらゆるものが対象になってきちゃうと、言葉に特殊性がなくなっちゃう気がする。使ってる人に聞いても「別に“好き”って言ってるだけです」とか言われちゃうし。
オタクが「萌え」定義にうんうんうなってるうちに、言葉はどんどん消費され、あっというまに死語へ近づいてるのか。
・“萌え”って言われたとき最初に思ったのは、女の子のセカンドキャラ好き、敵キャラ好きの歴史があるでしょ? それとそんなに変わんないんじゃないのって。主人公は熱血で前向きだし、当たり前すぎてつまんないから、裏がありそうな敵キャラか、二番手キャラの方に人気が集中し始める。
・萌えって複数出てくる中に存在するもんじゃない。で、戦隊ものに男の子が四人いても女はピンクだけだったりするわけじゃん。それじゃ萌えないでしょ。
うーむ、「萌え」は最初、女の子文化から発生したと言われておりますが、女性たちの中では萌えとはこういうモノだったのか。どうしても男のほうがああでもない、こうでもないと言葉をこねくりまわしてしまいますね。
Comments