パワーパフ meet エヴァ:「Qコちゃん」
セカイ系の定義はムズカシイのですが、大森望によりますと、
・個人の問題(キミとボクの問題)が中間段階(家庭とか学校とか会社とか社会とか)をすっ飛ばして世界の問題と直結するような物語。おたく系SFマンガや一部エロゲーに特徴的だった自閉的な恋愛ドラマが「新世紀エヴァンゲリオン」以降に一般化したもの?
ということになります。表面的な設定だけでいうと、(1)主人公が未成年であって、(2)世界ではなにやら戦争をしているらしい、というのでどうかしら。作品的には「エヴァンゲリオン」、高橋しん「最終兵器彼女」、田中ユタカ「愛人[AI-REN]」、西島大介「凹村戦争」、新海誠「ほしのこえ」など。
ウエダハジメ「Qコちゃん THE地球侵略少女」もセカイ系。ただ他作品とちがうのは、絵柄がキュートでポップなカワイイ系であること。西島大介をもっとコマーシャルにした感じ。パワーパフガールズのタッチでエヴァンゲリオンを描くとこうなるのか。
作品は説明的描写をまったく放棄しているので、難解。セリフのはしばしから、世界設定を類推せよ、という試験問題みたいなマンガです。読者によっては、オラオラわしに挑戦しとるんかいと、読解意欲がわくかも。
設定は以下のとおり、といいながら、ほとんど想像。すべて「らしい」をつけてお読みください。
舞台は近未来。世界は混乱の中にあり、日本は東日本帝国と西日本人民共和国に分断されて内乱中。外ではなぜかモンゴルと紛争中。ここに介入してきたのが宇宙人(巨大タコ型!)。彼らは地球人を浄化するために宇宙からつかわされた清掃局員です。
これに対して、宇宙の福祉マシーングループ「百三十姉妹」が反旗をひるがえし、地球のコドモたちを救うためにやってくる。彼女たちは地球人からは「お人形さん」と呼ばれていますが、人間を乗せ、その人間の意思で操縦される女の子型巨大ロボット。タイトルのQコちゃんはそのひとり。人間の大きさに変身もできます(こ、これはテキトーな設定)。
Qコちゃんをはじめとする複数の巨大ロボットが日本の小学生と出会い、お話が始まります。ところが、正邪の話ではありません。宇宙人のホントのねらいと地球人側の思惑が入り乱れる。ロボットを操縦するコドモたちは心を病んでおり、極悪で酷薄。ああ。
魅力はまず、絵とQコちゃんの造形のかわいさです。単純な線で描かれたQコちゃんは、日本的にカワイイ。立体化されたものの写真も掲載されていますが、これ、売れるんじゃないか。
ただし、線が単純すぎて、何が描いてあるのか、よくわからんこともあります。コマに複数の人間が登場すると、セリフは誰がしゃべっているのか不明。さらにそのセリフは理解を拒否するような断片的な内容。
ついには未完のまま、2巻で終わってしまったようです。
結果として失敗作になってしまいましたが、でもヘンにひとをひきつける。それはやーな人物造形だったり、謎のふりまきかただったり、カワイイ絵と深刻なストーリーのギャップだったり。トンガリすぎた惜しい作品でした。
Comments
セカイ系も2003年ごろの言葉なんで、もう古くなっちゃったですか。アニメのファフナーは見てませんが、エヴァに似てるというウワサがありますねえ。
Posted by: 漫棚通信 | January 30, 2005 09:20 PM
セカイ系という言葉はじめて知りました、検索して「蒼穹のファフナー」で試してみることにしましたが、「ファフナー」「ガンパレードマーチ」には当たりませんね、「なるたる」は該当するんでしょ。
ところで29日ログに「ファフナー」目下斜線ふれてられますのは、なるほど少年少女たちサインだったんですね。まんがより粗くて絵の質下げてるみたい。この線、「なかよし」よりアニメ絵掲載の多い「少女コミック」や「マーガレット」の方が多いかも、これらは紅潮しるしでのべつまくなしじゃありませんが。
Posted by: むうくん | January 30, 2005 03:20 PM