マンガ描いてたころの森博嗣
創刊当時の「だっくす」→「ぱふ」をひっくり返しておりましたところ、1979年11・12月合併号、この号は「特集・全国まんが同人誌地図」というやつなんですが、こんな人のマンガが。
森博嗣(「むく」とルビがふってあります)
ありゃりゃ。森博嗣といえば大学の建築学科助教授でありながら、1996年に「すべてがFになる」でミステリデビュー。以後すっごいスピードで新作を発表し続ける作家じゃありませんか。わたしも「すべてがFになる」「冷たい密室と博士たち」「笑わない数学者」まではおつきあいして読んだんですが、そのあまりの速い刊行ペースについていけず、脱落しました。
かつてはマンガ描いてたんですねー。その筋では有名な話だったらしくて、1999年発行の「森博嗣のミステリィ工作室」というファンブックみたいな本には、自身のマンガや萩尾望都との対談(うわぁ)、山田章博のコラムなども載ってるらしい(未見です)。
昔の森博嗣のマンガをネットで公開してるサイトもありました(と書いたとたんにタッチの差で消去されたみたい。著作権が問題になったのかしら。http://plaza.rakuten.co.jp/garret19xx/←ココだったんですけど)。
「ぱふ」1979年11・12月合併号の紹介によると、参加サークルは名古屋の「ドガ」。東海高校まんが研究会を中心につくられたグループで、コミックカーニバルを主催するなど名古屋の同人誌界をリードする存在だったそうです。1957年生まれですから、このころは大学生かな。
・「ドガ」メンバーの中で特筆すべきは、何といっても森博嗣氏である。とやかく言うよりも、まず今号掲載の作品を読んでもらえば十分だろう。森さんの作品の特徴は細かく描き込まれたバックと実に繊細な感情のこもったネームとにある。ほとんど一篇の詩といっていい。森さんは現在編集長の堀田清成さんと一緒に「ドガ」の初めから作品を描き、かつ編集もやってきた。今では一応「ドガ」を離れているということだが、「描ける」人だけにこれからもまんがを描いていって欲しい。
「ぱふ」のこの号では、さべあのま、けもこびる(高橋留美子)、いしいひさいち、まついなつきらと並んで作品が掲載されてるんですから、この時代のスターアマチュアだったんでしょう。
掲載作品は「やさしい恋人へ 僕から」というタイトル。副題が「狂気と幻想の箱」で8ページ。ストーリーはないも同然。饒舌なセリフと当時の少女マンガ調のきれいな絵を楽しむ作品。
・季節の絶えた想いの森では
羊歯の茂みに露がこぼれる
大好きな魔法の風が微笑する
悲鳴のテントをはりめぐらして
プラスチックの青白い
氷が自由を誓う時
僕は絶望の船乗りとなって
おぼろげな精霊の君にも
やさしい別れの言葉をそっとおくろう
「ひまつぶしに君を愛したのだ」
困惑に疲労が僕の手足を眠らせ
夢の手綱を彼方へと結べば
今に悪魔も天使も目を覚ます
今に幻影が吹きおこる
そうして僕の行く手には
セクシーな水平線が影を落す
書き写しててちょっと恥ずかしいです。もし今もマンガ描いてたら、どんな作家になってたでしょうか。
Comments
>とくめいきぼうさま
ごくろうさまでした。特に画像は最近きびしくなってますねえ。
Posted by: 漫棚通信 | December 08, 2004 05:16 PM
×起こられちゃいました。
○怒られちゃいました。
Posted by: とくめいきぼう | December 08, 2004 11:21 AM
そうなんです。
警告を見落とししてて、
起こられちゃいました。
Posted by: とくめいきぼう | December 08, 2004 11:15 AM