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November 11, 2004

マンガを語る2冊の本

 マンガの歴史を語るとき、はずせない本が2冊、再刊されました。それぞれ「マンガの歴史」をあつかったものであり、その本の発行そのものが歴史の一部となっているもの。

 ひとつは、みなもと太郎「お楽しみはこれもなのじゃ 漫画の名セリフ」が角川書店から復刊。もともとは「マンガ少年」1976年9月号から1979年8月号まで連載されたもの。連載終了後10年以上たって1991年、やっとこ単行本にまとまりました。マンガに関するエッセイで、形式そのものが和田誠の映画エッセイ「お楽しみはこれからだ」のパロディ。マンガを「和田誠ふうに」模写するという超絶技巧が見られます。雑誌連載時は、ページの上2/3がイラストで下1/3に文章という、元祖と同じレイアウトでした。

 名作との誉れ高かったエッセイですが、とりあげられるマンガは、戦後すぐの赤本マンガはあまり触れられず、主に1950年代からの雑誌、貸本、そして1970年代初期の少女マンガまで。著者が1947年生まれですから、リアルタイム読者だった作品が多くなるのはあたりまえ。雑誌連載時の1970年代半ばの読者にとっては、ちょっとだけ前の作品群でした。ああ、あれあれ、あったねえあんなマンガ。

 ところが、単行本が出版されたときはニューウェーブも遠く去り、マンガ世代もひとまわりしてマンガ・バブルのピークを迎えようという時代。「お楽しみはこれもなのじゃ」に書かれたマンガははるか昔のものに。この本は1997年に文庫化されましたが、入手困難となっていました。そして今回の復刊。現代の読者にとって、ここに書かれた多くのマンガは初めて見るものかもしれません。ただそれぞれが、それぞれの時代の読者を楽しませてきた傑作ばかりです。

 みなもと太郎は、いかにも楽しそうにマンガを語ります。そうか、マンガを語ることは楽しいことなんだと、最初に教えてくれたのは彼かもしれません。しかも、知識は豊富、ウンチクいっぱい。今買わずしてどうする。さあ買えすぐ買え。

 もう1冊は、松本零士・日高敏「漫画大博物館」。こちらは1980年ブロンズ社発行「漫画歴史大博物館」の増補改定版です。原著が箱入りで5800円もしたことを考えれば、税込み3360円はオトクというべきでしょう。もともと松本零士のコレクションの紹介を中心とした本で(ま、蔵書自慢ですな)、大正時代から始まってマンガ週刊誌が創刊される1959年までの子供マンガ単行本が、書影・内容ともにずらっと。「お楽しみはこれものなのじゃ」の前世代のマンガですね。

 くわえてインタビューが、横山隆一・大城のぼる・小松崎茂・福島鉄次・上田としこ・ちばてつや・豊田亀市(少年サンデー初代編集長)・内田勝(少年マガジン第3代編集長)とイッパイ。これはオトク。日高敏の書く「近代漫画史ノート」も簡単ながら、マンガ史の要約としてリッパなものです。惜しむらくは書影のあるそれぞれのマンガの、ストーリー紹介はあるんですが、作者の紹介のほうがないんですね。これについては他の本をあさらなきゃいけなくなりますが。

 このヒトはこんな絵を描くんだーと、ながめていても楽しい本。マンガ辞典と思って一冊いかがでしょうか。

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Comments

「大博物館」入手しました。
近所の掲示板ではまんが歴史を年毎にさかのぼって、今昭和10年くらいを書いているので、とてもタイムリーな本です。
「お楽しみはこれもなのじゃ」も読もうと思いますがネット注文をしているイーエスブックスでは品切れ中。
数日前ブログに書いた「斬鬼」も漫棚さんのところで知りました。
こっちはふつうの本屋に注文したため随分時期遅れの入手。
遅れながらあわせて感謝です。

Posted by: むうくん | November 20, 2004 11:04 AM

コメントありがとございます。本文でも書きましたが、「漫画大博物館」の欠点は著作者データの不足です。今のところ清水勲「『漫画少年』と赤本マンガ」巻末の漫画家小辞典が簡単な記述で参照しやすいんですが、手にはいる本じゃないしなあ。

Posted by: 漫棚通信 | November 20, 2004 08:25 PM

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