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November 08, 2004

ヒーロー・チームは何人?(その3)

(前回からの続きです)

 さらに人数を絞って4人のチームは。

 石森章太郎・平井和正「幻魔大戦」(1967年)はガッチャマンに先行する作品ですが、ガッチャマンのバリエーションと考えたほうがわかりやすい。

 (1)主人公・丈(2)ヒロインであり、丈と対立するライバルでもあるルーナ(3)少年でありお笑い担当・サンボ(この名前も今は昔ですねえ)(4)力持ち・ベガ。犬のフロイは後詰の「博士」役と考えて、4人のチーム。ガッチャマン型から、気の強いお姫様ヒロインとライバルを同一人物にして、ひとり少なくしたパターンになります。

 これを始めるとガッチャマン型を基本としていろんなパターンが考えられて面白い。力持ちかつライバルとか、少年かつヒロイン(BLですな)とか。もう描かれてるかな。

 もっとも古い4人チームは西遊記でしょう。たよりない二枚目のまわりを固める3匹の妖怪。日本だったら桃太郎と3匹の家来。桃太郎チームは主従だからあまり面白みのあるチームじゃありませんが、西遊記のチームはしょっちゅうケンカしてます。しかも三蔵法師はオカマであったり(アニメ「悟空の大冒険」では野沢那智がオカマ風に声をあててました)、美女であったり(TV実写版の夏目雅子ね)しますから、ヒロインの要素もないことはない。

 マンガでこのパターンを考えるなら「ドカベン」(1972年)でしょうか。優男の里中を中心に、まわりを固める3人の異形の男、山田・岩鬼・殿馬。テーマが野球とはいえ、さすがにスターを9人そろえるのは難しい。

 さらにRPGになると、チームは性別・年令や人間関係でなく、能力によって決定されます。なんせ目的がゲームクリアですから。戦士、攻撃魔法使い、回復魔法使いの3人が基本でしょう。これにもうひとり、お笑い担当の遊び人、商人、盗賊などを加えると娯楽作品としてはバランスが良くなる気が。

 海外モノのヒーロー・チームも、一応は日本製と同じ様な構造をもっていました。ファンタスティック・フォーなどは、紅一点のヒロイン、少年、お笑い担当の力持ちが存在し、しかもメンバー固定で日本製に近い。ただXメンになると、チーム内に恋愛や確執があっても、離合集散がはなはだしく、モー娘。状態。しかも、能力・性別・年令に加えて、人種・民族を考慮しなきゃいけないという、日本とは違う大きな問題をかかえているからこれは同列には語れなくなります。

 とまあ、世界に目を向けると、日本とは異なるチーム編成となるというお話で、今回はおしまい。


 追記:ヒーロー・チームはいっぱいあるんで、書ききれなかったモノ。また機会があれば。

・ワイルド7(タイトル先行型か? メンバーに女性もいるけどヒロインじゃないところが新鮮でした)
・最近の戦隊ヒーロー(女性がふたり! パワーレンジャーの影響?)
・スラムダンク(バスケだから5人。あたりまえか。メガネ君はのぞいて)
・ワンピース(トナカイ含む7人組。性格設定がちょっと単調かな)
・美少女戦士セーラームーン(最強の5人組! でも個性に乏しくないか?)
・ルパン三世(ルパン・次元・五右エ門に不二子・銭形を加えた5人をチームとするのは無理があるかしら)

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Comments

コメントありがとうございます。実は話をアメリカモノまで進めた段階で、こりゃ手にあまるわと思って早々に切り上げてます。ファンタスティック・フォーとXメン初期以後は小学館プロダクションの翻訳まで知識が飛んでまして、日米を比較するのはこりゃ難しすぎる。だもんで、ありがたいご指摘です。日本でのヒーロー増殖といえばライダーマン。わたしの意見言わせていただければ、かっこわるかった…

Posted by: 漫棚通信 | November 10, 2004 09:42 PM

こんにちは。
 アメリカの場合、たにぞこさんがおっしゃるように「集団のヒーロー」ではなく、「ヒーローの集団」という側面が大きいと私も思いますが、個人的にはこれはアメリカ的な価値観云々よりも、おそらく「ヒーローがみんな同じ世界に住んでいる」というスーパーヒーローもの固有の「ユニバース」という考え方の影響が大きいのだろうと思います。
 というのはあるチームにどのヒーローが入ってどのヒーローが抜けるかというのがスーパーヒーローコミックスの場合読ませどころのひとつになっている面があり、Xメンなんかも始まった当初はじつはけっこう典型的なチームものだったのが(サイクロプス=熱血リーダー、マーヴルガール=紅一点、エンジェル=クールな二枚目、ビースト=力持ち、アイスマン=子供)、メンバー入れ替え、チーム増加、メンバーシャッフルという、それこそハロープロジェクトみたいな展開が続いていまの形になっているわけです。
 で、ヒーロー性のありかたではなく、こういうメンバーを増やしたり組み替えたりしたい、という発想というか欲望はべつにアメリカ独自のものではないと思うんですね。
 たとえば日本でも仮面ライダーはどんどん増えて共闘する展開をとった訳ですし、そこから独立して存在する平成ライダーでもリュウキに代表される複数のライダーが離合集散する展開は、じつは変形チームもの的な意味合いが大きいのではないかと思っています。

Posted by: boxman | November 10, 2004 08:17 PM

> 学生服の男三人組って色気ないですねー。

 ある分野のファンにはそれがグッと来るかもしれませんね(笑)

Posted by: たにぞこ | November 10, 2004 06:41 PM

すごくひさしぶりに「怪人同盟」引っ張り出してきてながめてみましたが、学生服の男三人組って色気ないですねー。

Posted by: 漫棚通信 | November 10, 2004 12:41 AM

──────ふと思いだしたのですが、
石ノ森章太郎の『怪人同盟』の活躍描写は、
かなり明確に“チームでヒーロー”でしたね。
彼らの場合は基本的にはトリオでしたが。
それがサイボーグとほぼ同時期に連載されていたのは、
興味深いことだとも思います。

Posted by: たにぞこ | November 10, 2004 12:07 AM

>たにぞこさま
ご指摘のとおりなぜかアメリカでは、チームというより、ヒーローが集まっただけ、というグループが多いような気がしますね。このあたりが個人主義の国と家庭的なチームを求める彼我のちがいでしょうか。

>グリフォンさま
コメントとブログでのご紹介ありがとうございます。わたしの話がプロレスまでつながっていくとは思いませんでした。

Posted by: 漫棚通信 | November 09, 2004 11:53 PM

映画「ナヴァロンの要塞」みたいに(ネタバレちょっとしちゃいますが)

「一人は敵側のスパイだった」(後に、裏切り者となる)というパターンも考えるとさらに面白いかも知れませんね。


プロレスも、その種のリング上のストーリーを構成作家や首脳陣が組み立てる(「鉛筆組」「山賊会議」との隠語で呼ばれる)のですが、昭和の新日本プロレスの組み合わせもチームの性格付けを考えていたような気はします

Posted by: グリフォン | November 09, 2004 10:21 PM

アメコミ・チームですとメジャーどころに
マーヴェルに「アヴェジャーズ」
DCコミックスに「JL」が存在します
ちなみに例に挙げられた『ファンタスティック~』のシフトは
日本で翻訳しローカライズ放映されたアニメ『宇宙忍者ゴームズ』のものですね
オリジナルですと単に普通のアメコミヒーロー達という感じです
──────いずれにしてもアメコミの場合
“ヒーロー・チーム”がグループとして活躍するケースが多く
集団となることによって機能する“チーム・ヒーロー”が描かれるケースは少ないように思います
思うのですが、「集団ヒーロー」を考察する場合
【ヒーローの集団】なのか【集団がヒーロー】なのかが意外に重要な要件なのではないでしょうか?

 ちなみに日本のヒーローチームには簡単にメンバーチェンジした『ワイルド7』
そしてチームヒーローには車田正美作品や『はじめの一歩』を挙げておきたいと思います
グループの性質差が主人公の重さ・比重に差を付け
長い連載を効率よく処理する、格好のシステムとなっているように感じますし
先に挙げられた『~ガッチャマン』も第一シリーズでは明確に“ケンと父の物語”という縦軸が貫かれ
そして、それがシリーズを重ねるに連れ“ガッチャマン達の物語”へ移行・変質していった経緯もありますから

Posted by: たにぞこ | November 09, 2004 06:57 PM

ご教授ありがとうございます。そうでしたか、女性ふたりがもうあたりまえでしたか、20年遅れてました。いや、戦隊モノは奥が深い。

Posted by: 漫棚通信 | November 08, 2004 10:54 PM

はじめまして。

戦隊ヒーローの女性二人化は、1984年の『超電子バイオマン』からです。その後、いくつか女性一人のシリーズを挟みながら、現在まで、むしろ男性三人女性二人をデフォルトとして作品は作られています。

つまり、『パワーレンジャー』とは独立の事象です。
ではあるんですが、その『パワーレンジャー』第一シーズンの元作品となった『恐竜戦隊ジュウレンジャー』は女性一人。アメリカでのリメイクでは「少年」だったイエローが女性に変更され、女性二人となっていました。やはり、ポリティカル・コレクトネスの見地からの措置でしょう。

それと、元々の五人組にプラスして六人目以降が準レギュラーで登場するようになったのも、『ジュウレンジャー』からのことです。『ジュウレンジャー』は1992年ですね。

Posted by: 伊藤 剛 | November 08, 2004 09:51 PM

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