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November 07, 2004

ヒーロー・チームは何人?(その2)

(前回からの続きです)

 ガッチャマンの5人は(1)熱血主人公・健(2)クールなライバル・ジョー(3)ヒロイン・ジュン(4)力持ち・竜(5)少年・甚平で構成されています。

 ヒロインはチーム外でなくチーム内にいます。お笑い担当は力持ちと少年のふたり。漫才の伝統のせいか、日本ヒーロー・チームはお笑い担当をふたり置くことが多いですねー。今回、他のメンバーより若い甚平が参加しています。若いということは、未熟であり、トラブルメイカー、コメディリリーフ、けなげな行動、守られる対象など、いろんなシチュエーションを設定する事が可能です。これはオトクなキャラクターでした。そして決定的なのはジョーの存在です。

 主人公をおびやかすほどの実力をもったライバルがチーム内にいて、主人公との関係は微妙。ジョーと健は対立と和解を繰り返します。しかもジョーは陰のある人物として描かれ、人気も健をしのぐほど。

 ヒーロー・チーム内に対立・確執があれば、悪の組織との闘いのお話とは別に、チーム内部の人間関係のお話も描けるわけで、これもオトクな設定でした。東映のゴレンジャーでは、この5人の設定がまるきり踏襲されました。マネされることで、古典が確立されます。

 ガッチャマンのヒーロー・チーム設定には先行作品があります。TV実写ドラマ「忍者部隊月光」(1964年)。原作マンガはのちにガッチャマンを作る吉田竜夫の「少年忍者部隊月光」(1963年)で、少年キング連載でした。

 メンバーは月光、月形、三日月、月蝕、名月、月の輪、満月、月影の8人。(ココから先は現物持ってなくて記憶だけで書いてるんでちょと不正確ですが)たしか、TV版では5人のチームになってたはずです。ここでは半月が少年、三日月が女性でした(のちに銀月に交代)。女性、子供をふくめた5人のヒーロー・チームの先行作。作品的にも忍者部隊→科学忍者隊ですしね。

 チーム内対立の先行作品として、TVアニメ「冒険ガボテン島」(1967年)がありました。原案・豊田有恒、キャラクターデザインは久松文雄で、マンガ版を少年サンデーに連載。

 遊園地の潜水艦が漂流して、無人島にたどりついた5人の少年少女のサバイバル。主人公・竜太、その妹・トマト、竜太と対立するイガオ(イガグリのイメージらしい)、力持ち・カボちゃん(こっちはカボチャ)、「博士」役・メガネと学生服のキュウリ。無人島でのチーム内対立の元ネタは、もちろんヴェルヌの「十五少年漂流記」の中の主人公・ブリアンとライバル・ドニファンの対立です。

 閉鎖された空間での人間関係が、対立に向かうのはまあ当然でしょう。竜太とイガオは生活環境や性格の違いでケンカばっかりしてますが、無人島生活という極限状態の中では和解せざるを得ない。対立・和解の繰り返しが描かれます。

 そしてガッチャマンのチームは月光とガボテン島を合体させたものといえます。ガッチャマンの特徴は(1)紅一点のヒロイン(2)子供の参加(3)繰り返す対立・和解の構図です。これはすなわちホームドラマじゃないですか。ガッチャマンはこの3つをとりいれることで擬似家族となり、ヒーロー・チームのひとつの典型をつくりました。

 もうちょっと続きます。

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Comments

いえいえ。引用やリンクはご自由にどうぞ。

Posted by: 漫棚通信 | February 02, 2010 08:19 PM

 うちのサイトでこういうページを作った際、そちらのブログの内容を参考にさせていただいたので、ご報告させていただきます。

 盗用でも無断引用でもないですよ。

戦隊シリーズにおける戦士の役割分担(理論編)
http://hccweb.bai.ne.jp/~hci59301/miki/role/role1.htm
戦隊シリーズにおける戦士の役割分担(実践編)
http://hccweb.bai.ne.jp/~hci59301/miki/role/role2.htm

Posted by: えの | February 01, 2010 09:32 PM

コメントありがとうございます。スパイ大作戦やキイハンターまでは視野にありませんでした。アイフル大作戦とか沖雅也の俺たちは天使だ!まで考えなきゃいけないかしら。確かにマネは言いすぎでしたが、完全なオリジナルというものは存在せず、すべての創作には先行作品が存在するという考え方で語っております。永井豪作品はマジンガーZを考えてましたが、あばしり一家は意外なご指摘。これこそ白波五人男ですね。

Posted by: 漫棚通信 | November 08, 2004 08:45 PM

いつも興味深く拝見させていただいています
まだ論は進んで行かれるようですので、その前にちょっとコメントさせていただきたいと思います

> 東映のゴレンジャーでは、この5人の設定がまるきり踏襲されました。マネされることで、古典が確立されます。

 ここの「マネ」という表現は穏やかではないと思います
正しくは───歴史的に見れば先行作品に当たる位置付け───ではないでしょうか

 最初からメディアミックス展開を前提に考案された『~ゴレンジャー』の場合
“5人そろって”という要素は歌舞伎出し物『白波五人男』からのイメージ
という東映側プロデューサの証言もあるので、直接に『~月光』と繋げるのは難しいと思います

ちなみにスパイSFでもあった‥ことに原作マンガでは、『ひみつ戦隊ゴレンジャー』ですが
それ以前に大ヒットした海外TVドラマ『スパイ大作戦』の主要メンバーも同じ5人
東映の周辺スパイもの『キイハンター』は丹波哲朗演じる黒木の配下にやはり5人なのです
ですので、おそらく“5人”という数で作品をリンクさせていく着想や論の展開は
意外に広くて深い分析と慎重さを要求されることなのでしょう

 そういうことを踏まえた上で「続き」を期待させていただきます
ちなみに私のベスト集団ヒーローは『あばしり一家』ですね(笑)

Posted by: たにぞこ | November 08, 2004 04:21 PM

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