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October 09, 2004

諸星大二郎むかしむかし

 2004年10月3日の朝日新聞読書欄での諸星大二郎インタビューには、みなさんけっこう反応していて、あちこちのブログで取り上げられています。

 諸星大二郎の初期作品についてはわたしも以前に書いたことがありましたが、今回はさらに「COM」初登場作品について。「むうくん'sPage」のご質問に答えて。

 諸星大二郎の虫プロ「COM」初登場は、1970年12月号の月例新人入選作「ジュン子・恐喝」にさかのぼる1970年5/6月合併号。「ぐら・こんコミックスクール」への投稿作品で、タイトルは「硬貨を入れてからボタンを押して下さい」13ページ。作者名はのちの2作で使用した「諸星義影」名義でなく「諸星大二郎」です。

 このころの「ぐら・こん」は有名マンガ家が交代しながら選者をつとめていましたが、この月はちばてつや。月例新人入選作なし。第一席なし。第二席5人。そして第三席が諸星大二郎。ただし、ちばてつやの選評を読むと、第二席が3人、以下順にずれて、諸星大二郎は第五席ということになってます。

 13ページのうち2ページが掲載。タイトルページは誰もいない街を歩くヒゲづらの男の絵。ビル群は破壊されておらず、ヒトがいないだけです。もう1ページは、男が自動販売機を見つけて「やあっ!!」「ジュースの自動販売機だ まだ動いているぞ」 10と書いてある硬貨投入口に10円コインをいれてボタンを押しますが、硬貨は帰ってくる。10の上にはってあったはがれた紙をよく見ると「値上げしました 20」と書いてある。「ま、これだけ便利で美しい町なんだから………。多少の値上げはがまんしてもらわなくっちゃあ、所得も上がっていることだし………。」←男の言葉じゃなくて回想みたいです。

 掲載されているのこれだけですが、以下はちばてつやの選評です。

・第五席は諸星大二郎君の「硬貨を入れてからボタンを押して下さい」です。人類が滅亡して、たったひとり残った人間。なにか食べたい。そこは文明国、なんでもある。自動販売機に硬貨さえいれれば。十円玉が一まいだけある。十円で食べられるものは……。おもしろい物語です。しかし、なぜこの男は銀行にいかないのだろうか。おれだったらこうするというものがひとつでもあったら、この種の物語は弱くなります。最後に十円の自動販売機がみつかって、お金をいれてみたら胃腸薬がでてきた、というところはきいています。絵のムードから静けさがよくでていますが、人のいないさびしさがでていません。作者が人物になりきっていないからでしょう。物語は主人公の空腹ではじまりますが、いきなり空腹にもっていかないで、孤独からはじまるべきだと思います。絵は線を整理すること。

 いやあ、諸星先生、ちば先生から線を整理するようにアドバイスされてますが、30年たっても、線は同じなんですよねえ。

 ちなみに諸星大二郎の次席は、黒咲一人だったりします。このころの「ぐら・こん」は投稿者名をながめるだけでも楽しい。

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Comments

諸星大二郎初作、詳しい説明どうも。文読んで内容わかっちゃう。程書き込んでくださるのでありがたい。初めから彼は発想の持ち主だったんですね。
再びまんが読みになって6ヶ月目、一知さんとこと漫棚とこを導きの糸としています。今後ともよろしく。

Posted by: むうくん | October 09, 2004 10:11 PM

コメントどうもです。知らないマンガばっかり増えてて、読むべきものの選択はネットでの評がたよりです。いろいろ教えてくださいね。

Posted by: 漫棚通信 | October 10, 2004 08:06 AM

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