あすなひろしの想い出
一知全解さんからトラックバックをいただきまして、それに刺激されて、わたしのあすなひろし体験を。あすなひろしを初めて読んだのは虫プロ「COM」に掲載された諸作品でした。
・300,000 km/sec:1968年1月号
SFです。光速を出すロケット+ナチス+悲恋。
・美女ありき:1968年1月号
「ストーリーまんが家によるギャグまんが集」という特集の中の4P。
・その日、ノース=ビルは、雪:1969年2月号
自動車事故をめぐる悲劇。
・ジュニアの絵本 西部の唄:1969年8月号
西部劇イラストと訳詩。
・巣立ち:1970年4月号
おじ、おいの家族愛。
・スウという名の童話:1970年11月号
巻頭2色。ベトナム戦争をめぐる幻想。
・桔梗:1971年11月号
時代劇。武将の姫と盗賊の愛。
どれも繰り返し読んだ作品です。今回ひっぱりだしてきて久しぶりに読み返しましたが、覚えてるものですね。
1972年にあすなひろしは第18回小学館漫画賞受賞。「COM」という雑誌は1972年には消滅してしまっていましたが、1973年3月に「別冊COMコミック」というかたちで「あすなひろし自撰集 からじしぼたん」が発行されました。収録は以下のとおり。
・からじしぼたん:少年ジャンプ1971年9号
・ぼくのとうちゃん:少年ジャンプ1971年32号
・青い麦萌える:漫画アクション1969年26号
・武蔵野心中:ビッグコミック1971年21号
・寒いから早く殺して:漫画アクション1968年54号
・わたしが殺した女:漫画アクション1971年7号
・走れ!ボロ:女学生の友1972年5月号(受賞作)
・とうちゃんのかわいいおよめさん:少年ジャンプ1972年52号(受賞作)
・山ゆかば!:少年ジャンプ1970年43号
実はわたしは少年チャンピオン掲載の「青い空を、白い雲がかけてった」につながる、少年ジャンプ系の諸作(親子モノ)より、青年マンガの方が好きでした。タイトルからして何か悲しい感じ。これらでは、COM掲載作でもそうでしたが、登場人物の恋はけっして成就することなく、多くは死で終わります。悲劇的結末が1970年前後の気分とでもいいますか。
ストーリーを言葉にすると、陳腐かもしれない。でもあすなひろしはお話を描くんじゃなくて、人生を描こうとしました。彼の描く人物は生き、悩み、苦しみ、読者をその場に立ち合わせる。読者は登場人物といっしょに涙を流すことになります。それを支えているのは華麗な絵と詩情あふれるダイアログです。
あとひとつ。あすなひろしの描くゴツいオヤジの横顔。眉のところが鼻の高さと同じぐらい飛び出している、なんともかっこいいオヤジ顔でしたねえ。
Comments
あすなひろし氏の初の(?)原画展が、6月30日から7月14日まで、東京・神田で開かれるそうです。
会期中には、作中人物のモデルにもなったあすな先生のお姉さまと、みなもと太郎先生のトークショーも開かれるそうです。
http://asunahiroshi.jp/
Posted by: natunohi69 | June 30, 2010 08:21 PM