今年の9.11は「ブーンドックス」
今年もまた9.11が来ます。今年読む本は「ブーンドックス」です。
アーロン・マッグルーダー「ブーンドックス」(訳・町山智浩)はアメリカの新聞マンガ。タイトルは片田舎の意味。日本で最初に紹介されたのは「別冊本とコンピュータ アメリカンコミックス最前線」で小野耕世が訳したものでしょう。今回まとめて読んだ印象は、こんなに過激なモノだったか、という感慨。
黒人小学生ヒューイが、白人社会や、白人に迎合する黒人にニコリともせず皮肉を言い続けるマンガ。初期は「黒いチャーリー・ブラウン」と呼ばれたそうですが、確かにオチのもっていきかたが似てます。ところが9.11以降、マックルーダーは「度胸を決め」て、ブッシュをねらい打ちにすることにしました。9.11直後にテロをギャグにしたのはこの作品のみ。その後もアメリカ全体がテロ憎し、フセイン憎しの大合唱のなか、ブッシュをコケにし続けるこのマンガが新聞マンガとして存在しうるのは、日本とアメリカの新聞事情が違うとはいえ、驚異的なことじゃないでしょうか。
「僕はブッシュとヒットラーを比べたことすらないよ」
「だって、ヒットラーは少なくとも選挙で民主的に選ばれただろ?」
日本版はとびとびに2003年3月までが訳されていますが、そのあとの分も出版してくれないかなあ。
ひるがえって日本の新聞マンガは、政治的問題どころかちょっとした社会問題を扱ったギャグも許されない世界。せいぜい週刊誌マンガで芸能人やナベツネをからかう程度。これは新聞と日本社会が多くのタブーを抱えているからです。もし日本の新聞マンガで過激なギャグが可能だとすれば、読者全体の政治的傾向が似ている赤旗か聖教新聞なら期待できるかしら。
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