平田弘史の再々々々々々復活
「日本凄絶史」、「剣山」、「座頭市」、「黒田・三十六計」第4巻。
今年は平田弘史の作品集が4つも発売されるという信じられないような年です。隠遁・復活を繰り返している平田弘史ですが、今度こそ継続して仕事してくださいよー。
「黒田・三十六計」4巻掲載分はリイド社の「乱TWINS」に2003年9月から連載されたものですが、前の3巻分は祥伝社「コミック・ノストラダムス」(のちリニューアルして「マガジン・ノン」に改名)に1983年から1985年まで連載されたもの。この間20年たってるわけで、著者もよっぽど心残りだったんですね。わたしは「コミック・ノストラダムス」はおそらく立ち読みぐらいしかしたことないと思います。当時の広告によると、やまさき拓味/小池一夫「ノストラダムス愛伝説」、甲良幹二郎「超コマンド・タキ」、小林よしのり「角栄生きる」、西岸良平「たんぽぽさんの詩」、ジョージ秋山「餓鬼(ギャラ)」などが連載。「マガジン・ノン」時代になると、谷口ジロー「ブランカ」が連載。このころ祥伝社といえば、夢枕獏が「魔獣狩り」で売り出し中でした。
1980年代の「黒田・三十六計」を読むと、このころの平田弘史はまさに円熟の境地だったなと感じます。貸本時代や雑誌時代初期のほうが荒々しい熱のこもった作品でしたが、1970年代末「薩摩義士伝」のころになると勢いのある線と落ち着いた描き込みのバランスがよくなり、絵として完成された感があります。ただし「薩摩義士伝」は締め切りの関係か、やっつけの荒い絵もあったのが残念。「黒田・三十六計」のほうが落ち着いています。
20年後の4巻はさすがに全盛期から比べると線が弱くなり、描き込みが少なくなりましたが、ストーリーテリングのうまさははあいかわらず。みんなが誉めると仕事しなくなる人だから、みなさん、こっそりと小声で誉めるように。
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