「すみれの花」の失敗
「B館」MANGA NEWSで、ビーム2004年9月号付録、福島聡・森薫合作の「すみれの花」のレビューが書かれています。長文レビューの労作で、楽しく読ませていただきました。ごくろうさまです。
マンガを詳細に読むということはあまりしなくなっちゃいましたが、このレビューに刺激されてわたしも繰り返し「すみれの花」を読んでみました。残念ながらこの作品、一点で失敗しているように思われます。
37ページから39ページにかけて大きく描かれている「美術館の絵」の絵。「B館」MANGA NEWSではこの絵にはバラとスミレが描かれているとされていますが、スミマセン、まず、これにスミレは描かれているのでしょうか。わたしにはどうしてもそう見えないのです。これがスミレの花かなーと思えるものもなくはないのですが、葉っぱかなとも見えますし。そしてバラもバラなのか。わが家ではシャクヤクという説あり、葉ぼたんという説あり。
絵画としてバラとスミレを同じ画面に描くことはあまりしないんじゃないかしら。イメージとしてはスミレは可憐、バラは豪華ですし。花の季節としても微妙にずれてます。となると、この絵にはバラだけが描かれていると考えるべきでしょうか。ただしこの作品のタイトルが「すみれの花」ですし、クライマックスの絵には当然スミレが登場してほしい。あえてバラとスミレを絵に描いたと考えることもできる。
スミレが描かれているなら、この絵の作者と前園すみれとの何らかの関係が想像される。バラだけが描かれているなら、単なる美術鑑賞? というわけで、この絵に何が描かれているのかわからないという点が、この作品の穴です。惜しい。
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