新聞マンガの受難
最近新聞4コマばかりを読んでます。本来こういうのは1日1作。集中して読むもんじゃないかも。いしいひさいち「ののちゃん」全集版3巻、しりあがり寿「地球防衛家のヒトビト」、森下裕美「ウチの場合は」3巻。新聞マンガはどうしても他媒体に比べて毒がなくなります。これは読者層がコドモからじいちゃんばあちゃんまで、ということもありますが、もうひとつ大きな理由が。抗議するヒトビトがいるんですねー。
朝日新聞に連載していた砂川しげひさ「Mr. ボオ」というのがありました。砂川しげひさが新聞でどんなナンセンスを展開してくれるかと期待してたんですが、残念ながら途中で「ワガハイ」に改名。猫とその飼い主一家のお話に路線修正してしまいました。やっぱり新聞じゃキャラクターマンガじゃなきゃだめだったのかなあ。この後、新路線は成功をおさめ、猫マンガの続編は現在もネットで連載されてます。ところが、ありゃりゃこんなページが。
このかたは、「Mr. ボオ」はセクハラマンガであるので掲載中止するようにと、朝日新聞に抗議文を送りました。その結果「私と同じような意見の人が多数いたよう」だから「Mr. ボオ」は「ワガハイ」にタイトルが変わり、「少し改善」されたと理解されています。
「Mr. ボオ」がいかにヒドいマンガであるかの具体例は、コピーされている土俵問題のマンガともうひとつ、ふたご出産のマンガだけですが、後者に対する罵倒がスゴイ。(1)父親と赤ちゃんとの初対面がガラスごしでないのが変。(2)産着を着ていないのが変。(3)産むまでふたごとわからないのが変。(4)夫が分娩室に入らないのが変。(5)作者は女性の生活を全く知らない。(6)日本社会についても無知である。(7)だからセクハラについて鈍いのだ。
うーむ、(1)(2)(3)(4)まではそのとおりなんですが、新聞4コマの描写にその手のリアルを求めますか。またそこから(5)(6)へ飛躍しますか。
また一方「漫画は、実生活の生活感情に基づかないと、面白くありません」と断言しておられますが、そうだとは知りませんでした。ナンセンスマンガのプロ・砂川しげひさに対してマンガの描き方について説教されております。比較に出されたいしいひさいちも困るんじゃないかしら。抗議文の中で「漫画としても面白くありません。掲載中止をお願いします」とありますが、このかたはセクハラ問題に抗議したいのか、それともマンガの面白さについて語りたいのでしょうか。
土俵問題のマンガは「セクハラ問題に過剰反応する」ことを笑うマンガでした。これに対してこのかたは「このマンガはセクハラ問題を矮小化している」と考え、抗議文を出し、掲載中止を訴え、このような文章をネットに載せ、マンガの描き方まで語ってくれます。面白いっ。
このページはその他にもツッコミどころいっぱいの笑えるモノでしたが、新聞マンガは右からも左からもこのような抗議にさらされているわけです。自分の意見を発言されるのは一向に構わないのですが、意に添わない連載を中止させようと虎視眈々とねらっているヒトはいっぱいいるようです。新聞マンガに毒がなくなるのもしょうがないか。
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