怪人ヒイロのオリンピック
アテネ・オリンピックやってますねー。どうしてもTV見ちゃいますよねー。
オリンピックで思い出すマンガといえば、どおくまん「怪人ヒイロ」。怪人はミラクルと読みます。1985年から週刊少年チャンピオンに連載。どおくまんとしては「熱笑!!花沢高校」に続く作品でした。
当時のチャンピオンといえば、「がきデカ」「ブラックジャック」「ドカベン」「750ライダー」などのビッグヒットはすでに終了。水島新司「大甲子園」が連載半ばの時期。「怪人ヒイロ」は1984年ロス五輪での日本陸上陣惨敗を受け、次のソウルでの金メダルを取るヒーローを描くマンガとして始まりました。
北海道・大雪山にある忍者の隠れ里に住む野生児・ヒイロ(いつものとおり青田赤道そっくり)が主人公。都会に出てきた彼は陸上の日本選手権に出場して、ハンマー投げ・1500m・800m・走り幅跳び・走り高跳び・400m・棒高跳び・100mで優勝。しかもすべて日本新記録。そして神戸で開かれた8カ国陸上で、砲丸投げ・三段跳び・やり投げ・走り幅跳びで優勝。すべて世界新記録。
100mでは世界新を出しながら「カルロス・ルイス」に破れてしまいますが、最後の400mリレーではかつての日本人ライバルたちと組んでルイスのいるアメリカ・チームに勝利。見事な盛り上がりを見せて面白かったのですが、ここでまだ1986年半ば。オリンピックまでまだ2年あります。ネタが切れてしまいました。
というわけで、次は「プロ野球編」。ヒイロがジャイアンツに入団して活躍。お話のスケールがえらく小さくなっちゃいました。その後が謎の覆面男カボチャマンとヒイロが格闘技などで戦う「驚異のカボチャマン編」。
ここまでが新書版単行本で18巻。さて19巻はいよいよ待ちに待った「オリンピック編」。水泳のオリンピック選考会で出場した13種目すべてで出場権を獲得。陸上でも21種目に出場することに。
ソウルの選手村でルイスと再会したヒイロは「ベム・ジョンソン」を紹介され、新たなライバルとにらみ合います。カナダじゃなくてUSAのジャージ着てますが。19巻に収録されている最後の回「ベールを脱ぐモンスター!!の巻」では、出場した水泳13種目すべてでヒイロは金メダル獲得。これをTVで見ているジョンソン(カナダのジャージに着替えました)は「ツイニ対決ノトキガキタナ小僧 他ノ種目ハドウデアレ100mノ金メダルハ絶対ニ渡サン」と不適につぶやきます。
これは燃えるでしょ期待するでしょ。19巻の表紙はヒイロ、ジョンソン、ルイスが競走している絵でしたし。ところがこの後いつまでたっても、20巻は発売されませんでした。えー? あれで終わり? どうして?
19巻の発売は1988年5月と奥付にありますから4月ごろの発売でしょう。チャンピオンの連載は2〜3月か。そしてソウル・オリンピックの開催は9月。ベン・ジョンソンの世紀のドーピング・スキャンダルがあり、結局「ヒイロ」の20巻は発売されることなく、現在でも全19巻のままです。
このころわたしはチャンピオン買ってなかったので、雑誌ではどういう展開をしていたか知らないのですが、オリンピックのために4年間引っ張ってきたマンガをその開催前に終了させるとは。それとも雑誌連載は続いていたけど単行本化されなかったのでしょうか。どちらにしても怪人ヒイロのオリンピックでの活躍はもう読むことができません。ちぇっ。
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Comments
はじめまして。
私もヒイロは大好きで,少年チャンピオンで最終回まで読みました。このブログを見て,もう一度読みたくなったところです。
ところで,私は優勝タイムがなぜ9秒56になったかの根拠(?)らしきものの記憶があります。
当時はジョンソンとルイスの争いが非常に盛り上がっていて,そうした場合によくあることですが,NHKが特集番組で取り上げたことがありました。その番組で,ジョンソンの回転数とルイスの長身が組み合わされば,優勝タイムは9秒56だと予言していました(どこかの大学の先生だったと思います)。
その後ヒイロの最終回を迎え,優勝タイムが9秒56となっているではないですか。
どおくまん先生も同じ番組を見て,そのタイムを採用されたに違いないと思ったものでした。
以上かなりいい加減な記憶からですので間違っていたらご勘弁ください。
Posted by: hh | September 01, 2011 11:47 PM
情報ありがとうございます。これですね!
http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/21196.html
Posted by: 漫棚通信 | August 28, 2011 10:08 PM
皆さんついにやりましたよ!とうとうヒイロの20巻が電子書籍で出ます!秋田書店さんへメールでお願いしてよかった...。 by NS
Posted by: NS | August 23, 2011 10:23 PM
いやー調べてよかった。
このブログの最初は、2004年のアテネオリンピックに書かれているのですね。
それから5年の歳月が流れ、ある怪物の出現で、同じことを考えた人がいたことに嬉しく思います。
自分もヒイロは大好きだったのですが、残念ながらチャンピオンは購読してなかったので、たまに立ち読みする程度でした。
ところが偶然にも、ある日たまたま立ち読みしたチャンピオンのヒイロが最終回でした。
よく覚えてます。
あらすじは上記トロさんの通りです。
最終回は全くセリフなしで、最後ナレーションが入るだけです。
全ページ100Mの決勝を漫画だけで描かれてます。
ただしその時出した世界記録のタイムがどうしても思い出せませんでした。
その当時(20年前)からは信じられない記録、まさに漫画ならではの記録だなーと思ったことを覚えています。
そして現在、ボルトが信じられない記録を作っちゃいました。
その時、あれヒイロでは何秒だったか?と気になっておりました。
9.56ですか。
その当時は「そんなアホな」と思ってたのですが、超えることも可能ではないところまで来てしまったのですね。
Posted by: Aki | August 24, 2009 01:51 AM
はじめまして。
私も怪人ヒイロはとても好きで、単行本も19巻まで持ってますが、最後まで読めずずっと消化不良のままです。
秋田書店さんには、ぜひリクエストに応えていただきたいですね。
↑のトロさんの記憶力はすごいですね。
私もチャンピオンで読んでましたが、そこまで詳しく覚えてませんでした。私も覚えている点をいくつか。
・最後の100mのタイムは9秒56
(ボルトが0.02秒まで迫りましたね)
・熊野のコーチが、「熊野はスタートだけが取り柄だから、ベム・ジョンソンに勝つのは難しいかもしれないが、50mくらいまでは抜かれない…」というようなことを言っていたが、ベム・ジョンソンのロケットスタートに、スタートから惨敗する。
山田コーチとヒイロが抱き合って終わる最後のシーンは感動的でしたが、いつものことながら最初の方の、「ウダッペ ウダッペ ウダッペラ~」とはものすごいギャップですね
Posted by: ki61 | August 23, 2009 06:03 PM
秋田書店さんに書版化は無理でも、電子データでもいいからと出版お願い依頼出してみました!!
以下の回答です。ラブコールに応えてくれるといいですね♪私も20年間待った続きを確認したいです。
いつもご愛読くださりありがとうございます。
頂戴いたしましたリクエストは
さっそく弊社電子出版担当部署に申し伝えます。
ただ、配信のお約束はできませんので、
その点あらかじめご理解のほどお願いいたします。
この度は貴重なご意見を賜り、
ありがとうございました。
秋田書店 WEB MASTER
Posted by: NS | June 08, 2009 08:35 PM
コメントありがとうございます。トラックバックいただいた「情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明 」などを読んで、どおくまんのメンバー鈴木信治氏が亡くなったことに伴い、ヒイロは中断されたと思っていました。再度調べてみることにします。
Posted by: 漫棚通信 | September 05, 2008 09:38 PM
初めまして
「怪人ヒイロ」は僕も大好きな漫画です。
で、ソウルオリンピック編ですが、あれはきちんと完結しています。
当時チャンピオンを購読していましたが、ヒイロが終わってしまったので買う気が失せたのをよく覚えているほどです(笑)。
内容はというと、100mの決勝戦でカルロス・ルイスやベム・ジョンソンもまったく寄せ付けない、圧倒的な強さを見せ付けたヒイロが世界新記録を出し優勝します。そしてコーチ(すみません、名前を失念してしまいました)とかたく抱き合い涙するシーンで「電光掲示板には驚異的な世界新記録が表示されていた」「二人の耳には観客の大歓声も届いてはいなかった」というようなナレーションが入り、抱き合うヒイロとコーチの顔のアップ(泣いていて、目は髪で隠れている)に「怪人ヒイロ」「完」と重なって終わります。
ナレーションについてはうろおぼえなんですが、大体こんな感じだったはずです。
それにしてもベン・ジョンソンのドーピング・スキャンダルが原因なのか、第20巻が発売されないままっていうのは不可解ですよね。
僕も単行本を持っていたのですが、どういうわけか家族に捨てられてしまったので、是非復刊して欲しいものです。
Posted by: トロ | September 04, 2008 01:35 PM