いつも隣に仲間がいた…
藤子不二雄A「いつも隣に仲間がいた…/トキワ荘青春日記」を再読しました。1981年初版。1996年にリメイク・再編集して再版されたもの。
1981年はトキワ荘ブームの年でした。トキワ荘が取り壊されるということになり、1月13日手塚治虫らが集合してトキワ荘同窓会を開き、5月25日にはNHKでドキュメンタリー「わが青春のトキワ荘」放映。TBSでは10月3日にアニメ「ぼくらマンガ家 トキワ荘物語」(脚本・辻真先、監修・小池一夫、監督・鈴木伸一、キャラクターデザイン・石森章太郎)を放映しました。
また「鈴木伸一アニメーター二十五周年の会」「赤塚不二夫二十五周年の会」「寺田ヒロオ編“漫画少年史”の出版を記念して“漫画少年”について語る会」なども開かれましたし、石森章太郎「章説・トキワ荘・春」の発行もこの年。というわけで、藤子Aの日記もこのブームに発行されたもの。
一方1996年は監督・市川準、主演・本木雅弘の映画「トキワ荘の青春」が公開された年で、これにあわせてこの本も再版されました。
わたしのものじゃなくて、図書館で借りたもの。読んだのは二度目なんですが、内容を全く忘れてましたね。どこかで読んだはず、と探し回ってた寺田ヒロオの晩年の話も、この本のあとがきに書いてありましたし。
今回は人名に注意しながら読んでみたんですが、棚下照生の登場が2回。寺田ヒロオの部屋を訪問した時と、寺田の結婚式の時。長谷邦夫の登場が6回。いつも石森章太郎か赤塚不二夫といっしょにいます。ほんとにトキワ荘にいりびたってたんですね。
週刊少年マガジンと週刊少年サンデーは、1959年ほぼ同時に創刊されるのですが、藤子Aのところに小学館の編集者が原稿依頼に来たのが2月11日。タッチの差で2月13日に講談社からも依頼あり。週刊誌2つは無理ということでマガジンを断り、サンデーに連載したのが「海の王子」です。これはサンデーからの持ち込み企画でした。この後、藤子不二雄は主に小学館グループで仕事をすることになり、オバQ・ドラえもんにまで至るわけですから、歴史の偶然というべきか。もし藤子不二雄がマガジンに描いていたら… 戦後マンガ史が変わっていたかもしれません。
この本の最後のシーンは1981年6月26日「“漫画少年”を語る会」の記述です。長谷邦夫の「漫画に愛を叫んだ男たち」もそうでしたが、トキワ荘の物語は寺田ヒロオの話で終わります。
Comments
コメントありがとうございます。
藤子不二雄は一部の作品を除いて今でも読めますが、寺田ヒロオは現在古書でしか手に入りません。懐かしマンガブームにのって、どこかが再版してくれればいいんですけどね。
Posted by: 漫棚通信 | July 29, 2004 05:27 PM
こんにちは。
実は「海の王子」リアルタイムで読んでました。彼らの初期作品の中ではとても好きなタイトルで,今でもいくつかのシーンを覚えています。寺田ヒロオさんもまじめな作風ですが「背番号0」とか「スポーツマン金太郎」とか読んでましたよ。それどころか「暗闇五段」なんか後に単行本を探して読んだおぼえがあります。気がつくとトキワ荘の顔ぶれの中でいちばん思い出深い作家になっていました。
Posted by: ALGOL | July 28, 2004 05:06 PM