9.11に「9-11」を読む
はてなダイアリーの箱男さんの話はいつもためになるなあ。このブログはトラックバックというものをしたいがために始めたんですが、あそこはトラックバックおことわりになってますね。以下はわたしが2003年9.11に書いたもの。
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今年も9.11がきました。あれから2年。アフガニスタン、イラク、さらに戦争がおこるかもしれない時代になってしまいました。
9.11にアメリカのマンガ家はどう考えたか。「9-11」は全2巻。第1巻は「9-11: Artists Respond」、第2巻「9-11: The World's Finest Comic Book Writers and Artists Tell Stories to Remember」と題され、共に2002年の早い時期に発売されました。第1巻はダークホース、カオス、イメージコミックスの作家たち、第2巻はDCコミックスの作家たちの作品を集めたものです。1ページから数ページまでの短いものばかり。第1巻の有名どころはフランク・ミラー、アラン・ムーアら。スーパーヒーローが出てくるのは第2巻で、表紙はアレックス・ロス。いろんな人種・民族の消防士・警官・市民たち(犠牲者でもあり救助者でもあるのでしょう)がすっくと立ってこちらを眺めているポスターを、スーパーマンとスーパードッグが見ている。過去のアメコミ雑誌表紙をまねた構図です。参加作家は、ジム・リー、ニール・ゲイマンとクリス・バチャロなど。なつかしやリチャード・コーベン、ニール・アダムス、ジョー・キューバートも。
読んでいると暗い気持ちになってしまい、とても面白いとは言えない本です。事件から比較的早い時期に描かれたこともあり、作家たちの反応はまず驚きと悲しみ。事件を越えて前進しようとはいうものの、どの方向への向かうのかこの時点ではだれも解っていません。争いはやめて全地球的に手を握ろうというフラワーチルドレン的な絵もあります。
一方、マーヴェル。先日新潮社から発売された「アメコミ&ムービー・スーパーガイド」の付録として「スパイダーマン 9.11」が日本語で読めます。こちらはスーパーヒーローを前面に押し出した構成で、スパイダーマン・Xメンたちがツインタワーで救助活動に参加。変なのは、マグニートーやドクタードゥームらの悪役も爆心地で涙しています。言葉では「理性と良識を持ち、仕返しをしてはいけない」と語られています。とはいうものの最後のページではいろんな人種・民族の消防士・警官・市民たち(とスーパーヒーローたち)がこちらを眺めている。「9-11」第2巻の表紙と同じです。しかもこちらは星条旗がバックにはためいています。
この構図はアメコミ作家たちのお気に入りで、同じものが「9-11」第2巻の中で3回は出てきます。しかもすべてバックに星条旗を背負っている。彼らはなんらかの未来を見つめています。その後のアメリカの行動を見ていると、彼らの視線の先には戦争があるとしか思えませんが。
Comments
いえ、トラックバックしない仕様なわけでもなく、はてな側に受けたトラックバックを「トラックバックとして表示する」機能がないのでトラックバックそのものに意味があんまりない訳です。私は受けたリンク類を表示さないような設定にしているので表示されたとしても大差ありませんが。
Posted by: boxman | June 16, 2004 12:59 PM
わっ、びっくりした。ご本人ですか。了解しました。というか、「はてな」ってトラックバックしない仕様になってたんですね。失礼しました。
Posted by: 漫棚通信 | June 16, 2004 09:41 AM
べつにトラックバックを禁じている訳ではなく、「こちらからはしない」ということです。
トラックバックを送りたい場合もリンク同様御自由になさってくださってかまいません。
ただ、送られても反応しないかもしれませんし、反応する場合も「誰々さんに書かれた何々について〜」みたいな明示的なリンクは張りません。その文章だけ読んで違和感がないようなごく一般論的な書き方しかしないと思います。
Posted by: boxman | June 16, 2004 03:14 AM